自然界は弱肉強食!・・・え、植物も!?「たたかう植物-仁義なき生存戦略」
皆さんは,植物にどんなイメージを持っていますか?
自然あふれる森,美しい花.動くこともなく,平和で穏やかなイメージを持つ人が多いでしょう.しかし,植物は色々な相手とバチバチの生存競争を繰り広げています.
そんな植物の戦いにスポットライトを当てて解説している本を見つけました.「たたかう植物-仁義なき生存戦略」です.
著者の稲垣栄洋(いながき ひでひろ)さんは,静岡大学大学院農学研究科の教授です.本書の他にも,植物や動物を題材にした本を数多く執筆しています.
本書では,
①植物 vs 植物
②植物 vs 環境
③植物 vs 病原菌
④植物 vs 昆虫
⑤植物 vs 動物
⑥植物 vs 人間
の6つに分けて,繰り広げられている生存競争を紹介していきます.
植物は競争相手に負けないよう,様々な工夫を重ねていきます.競争相手も植物に寄生したり食べたりしないと死んでしまうため,負けないように対策を講じます.この繰り返しで,植物も競争相手も進化していきます.
例えば,植物は昆虫に食べられないように,毒を身にまといます.しかし,その毒に耐性を持ったイモムシに効果はありません.すると,植物は化学物質を使って,イモムシの天敵である寄生バチをおびき寄せます.
人間相手でも植物は戦います.除草剤によって,雑草は大打撃を受けました.しかし,除草剤に耐性を持つ突然変異体が現れ,生き残るようになりました.
今,人間は除草剤に頼らず雑草の被害を抑えるための方法を考えています.さて,植物はどう対抗してくるのでしょうか.
本書を読むと,平和で穏やかな植物に対するイメージが変わります.専門的な内容があってやや難しいですが,豆知識も豊富で面白いです.
リンゴの果実は,モモやカキと上下逆さまらしいですよ・・・
気になった方はぜひ読んでみてください.